四つ葉のクローバーは、なぜできて、どこで見つかるのか ― 研究者の説明と公園のルールから

「1万本に1本」の出どころ、四つ葉ができる2つの理由、一つ見つけたらまわりを探すとよい根拠、そして公園で摘んでよいのか。研究者の回答や論文、条例の条文を読んで確かめたことを、出典つきでまとめました。

四つ葉のクローバーは「1万本に1本」とよく言われます。けれど、この数字の出どころをたどると、確かな調査は見つかりません。四つ葉がなぜできるのかも、実はまだ解き明かされていない部分が多くあります。

この記事では、植物の研究者の説明、国立国会図書館の調査、論文、公園の条例を読み、わかっていること・わかっていないこと・公園でのルールを整理しました。そのうえで、デコパークならではの「摘まずに残す」方法を紹介します。

クローバー(シロツメクサ)のこと

公園の芝生などで見かけるクローバーは、主にシロツメクサ(学名 Trifolium repens)です。

  • 1枚の葉は、3枚の「小葉」でできています。 三つに分かれて見える部分は、それぞれ小葉(しょうよう)と呼ばれ、3つで1枚の葉です。四つ葉のクローバーは、小葉が4枚ある葉のことです(日本植物生理学会)。
  • 多年草で、茎が地面をはって広がります。 繁殖期は4〜10月で、種子のほか匍匐茎(ほふくけい:地面をはう茎)でも増えます。冷涼で、日当たりが良く、湿ったところを好みます(国立環境研究所 侵入生物データベース)。
  • もとは日本の植物ではありません。 オランダから送られてきた品物の間に詰め物として使われていたのが最初の持ち込みとされ(国立環境研究所)、国立国会図書館のレファレンス事例では、弘化3年(1846年)にオランダから伝来したと紹介されています。明治期には牧草として導入されました(岩手大学)。同じ事例で紹介されている『日本帰化植物図鑑』では、ガラスの器の詰め物にされた枯れ草の種子をまいたという話とともに、「詰め草」の語源が説明されています。

四つ葉ができる2つの理由

東京大学の塚谷裕一氏(植物の発生遺伝学)は、日本植物生理学会の質問コーナーで、四つ葉は2通りのやり方でできると説明しています。

四つ葉ができる2つの理由(日本植物生理学会の回答より)
きっかけ次の世代に伝わるか
① 葉のもとが傷つく葉の原基(げんき:葉の赤ちゃんにあたる部分)は非常にデリケートで、踏まれたりして傷ついたり、逆に栄養が多すぎたりすると四つ葉になる機械的な原因でできたものは、多分遺伝しないとされる
② 突然変異遺伝子の変化で、3つを1セットにする仕組みそのものが変わる。園芸店で売られている、いつも(または非常に高い確率で)四つ葉になる品種がこれにあたる遺伝する。野外から選び出された系統がいくつも確立している

塚谷氏は、四つ葉のクローバーはしばしば近くにかたまって見つかることから、「多くは変異系統である可能性が高い」とも述べています。

原因の遺伝子は、まだ特定されていません。 塚谷氏は2013年の回答で、四つ葉の遺伝子を決めようとする研究の成功例は「未だに聞きません」と書いています。米国ジョージア大学の研究室は、小葉の枚数を決める遺伝の仕組みは未解明で、調べている最中だとしています。この研究室は、四つ葉は「多葉性(小葉がたくさんつく性質)」の軽い現れだろう、とも見ています。岩手大学の研究室は、複葉(小葉が集まってできる葉)の形成に関わる遺伝子をいくつか取り出すことに成功し、ゲノム編集で四つ葉をつくることを目指しています。

「1万本に1本」は本当か

よく聞く「1万分の1」について、確かめられたことをまとめます。

  • 国立国会図書館のレファレンス事例(四つ葉ができるしくみと確率を尋ねた質問)では、「自然界における確率について確認できる資料は見あたらなかった」と回答されています。
  • 2009年に韓国・済州大学の研究者が発表した論文(放射線で四つ葉の品種をつくる研究)は、冒頭で四つ葉の出現率を「1万分の1」と書いていますが、その根拠は示されていません。
  • 英語版ウィキペディアは、スイスのウェブサイト「Share the Luck」による2017年の集計として、ヨーロッパ6か国で約570万本を数えたところ、四つ葉は約5,000本に1本(三つ葉5,076本に1本)だったと紹介しています。大規模な数え上げですが、学術論文として審査されたものではありません(元のページは現在、内容を確かめられませんでした)。
  • 園芸品種では、四つ葉が比較的多い品種について「鉢植えの1〜2割」が四つ葉という新聞記事がある、と国立国会図書館の事例で紹介されています。

つまり、「数千本から1万本に1本くらい」とよく言われるものの、野外での確率を示した確かな調査はまだない、というのが正直なところです。場所によって大きく違うことも考えられます(理由は次の章で)。

見つけるためのヒント(根拠つき)

1. 一つ見つけたら、そのまわりを探す
四つ葉は近くにかたまって見つかることが多く、突然変異の系統である可能性が高い、というのが研究者の説明です。シロツメクサは匍匐茎で増えるので、変異のある株なら、つながった同じ株の葉にも四つ葉が出ます。日本植物生理学会の別の回答でも、同じ株の地下茎からの個体も四つ葉であれば、突然変異で生じたものと考えてよい(それらはクローンだから)と説明されています。

2. 見つけた場所は、翌年も見てみる
突然変異の株は、匍匐茎で増えても同じ性質を保ちます。2009年の論文も、四つ葉の品種はさらに遺伝的に固定しなくても、匍匐茎で増やせると書いています。見つけた場所を覚えておけば、次の年にまた出会えるかもしれません。ただし、踏まれてできた一時的な四つ葉なら、同じ場所で続くとは限りません。

3. よく踏まれる場所にも目を向ける
葉のもとが踏まれて傷つくことも原因の一つとされています。人がよく歩く芝生の縁なども、探してみる価値があります(これは上の説明からの推測で、場所ごとの出現率を比べた調査は見つけられませんでした)。

4. 「1枚の葉に小葉が4枚」かを確かめる
2枚の葉が重なって、小葉が4枚に見えることがあります。葉の柄(葉柄)を1本たどって、その先に小葉が4枚ついているかを確かめましょう。

公園で摘んでもいいの?

ここは大事なところです。公園の四つ葉を摘むことは、植物を採ることにあたります。

  • 東京都立公園条例 第十六条は、都市公園内でしてはならない行為として「植物を採集しまたは損傷すること」を挙げています(あらかじめ知事の許可を受けた場合を除く)。
  • 横浜市公園条例 第5条も、公園での禁止行為として「竹木を伐採し、若しくは植物を採取し、又はこれらを傷つけること」を挙げています。

同じ公園の中でも、地面に落ちた木の実については扱いが違います。横浜市などは、落ちているどんぐりなどの木の実は、配慮をしたうえで拾って持ち帰ってよいとしています(秋にどんぐりが拾える公園で詳しく紹介しています)。生えている四つ葉を摘むことは、これとは別の行為です。

ルールは公園を管理する自治体ごとに決まっていて、ほかの公園でも同じとは限りません。けれど、多くの公園で植物を採ることは制限されています。公園で見つけた四つ葉は、写真に撮って、その場に残していくのがおすすめです。どうしても持ち帰りたいときは、その公園の管理事務所に確かめてください。

デコパークで「摘まずに残す」

デコパークでは、公園の地図の上に、見つけたものを「しるし」として置けます。四つ葉のクローバーのしるしは、次のように残せます。

  • 見つけた場所に置ける:公園の地図の上の、見つけたあたりに置きます。「一つ見つけたら、そのまわりを」「翌年も同じ場所を」という探し方と相性が良い記録です。
  • 見つけた日が残る:しるしには見つけた日が記録されます。地図の上に一定の期間表示されたあとは、年度ごとの記録として公園のページから見返せます。
  • 五つ葉・六つ葉も:葉の枚数を選んで置けます。
  • ほかの人にも見える:同じ公園を訪れる人が、「この公園ではこのあたりで見つかった」と知ることができます。

摘まずに残した四つ葉は、次に来た人がまた見つけられるかもしれません。公園の四つ葉を、みんなで分け合う記録の方法です。

しるしの置き方はこのサイトについてで紹介しています。公園は公園を探すから選べます。

ちなみに

  • 五十六つ葉:岩手大学の研究室の紹介によると、岩手県花巻市で見つかった56枚の小葉をもつクローバーがギネス記録になっています。
  • 放射線でつくった四つ葉の品種:2009年の論文では、花に放射線をあてて得た系統のうち「Jeju Lucky-1」が、約60%の頻度で四つ葉をつけたと報告されています。
  • 牧草としてのクローバー:岩手大学は、四つ葉だらけの牧場で牛を飼えたら、という発想から研究を始めたと紹介しています。クローバーはマメ科で、空気中の窒素を取り込んで育ちます。

この記事について

  • 調べた時期:2026年9月
  • 調べ方:研究者の回答、国立国会図書館のレファレンス事例、学術論文、研究機関の公開情報、条例の条文を読み、書かれている内容を載せました。推測にあたる部分は、その旨を書いています。
  • 情報の追加・訂正:誤りに気づいた方は、お問い合わせからお知らせください。

出典

四つ葉のしくみ

確率

シロツメクサについて

公園のルール

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