秋にどんぐりが拾える公園 ― 公式情報で確かめた全国の公園と、拾う前に知っておきたいこと
公園を管理する自治体・公園協会が自ら公開している情報だけで、どんぐりが拾える公園を調べました。種類ごとの落ちる時期と見分け方、持ち帰ってよいかのルール、虫の処理まで、すべて出典つきでまとめています。
「どんぐりはどこで拾えるの?」という問いに、口コミやまとめ記事ではなく、公園を管理している自治体・公園協会・指定管理者が自ら公開している情報だけで答えることを目指した記事です。
どの公園に何のどんぐりがあり、いつ頃落ちるのか。拾って持ち帰ってよいのか。持ち帰ったあと、どう扱えばよいのか。調べた内容はすべて、各項目の出典(記事の最後にまとめています)で確かめられます。
この記事での公園の選び方
- 公園の公式サイト・公式資料で、園内のどんぐりの種類や場所、落ちる時期が具体的に案内されている公園を「公式に案内がある公園」として載せました。
- どんぐりを使った行事の記録だけが見つかった公園は、「どんぐりの行事がある公園」として分けました。行事は年によって内容や日程が変わります。
- 人気の高い公園でも、公式な情報が見つからなかった公園は載せていません。載っていないことは、どんぐりがないことを意味しません。
- デコパークにページがある公園はリンクしています。まだページがない公園は、その旨を書いています。
調べたのは2026年9月です。北海道・関東・東海・近畿では公式情報が見つかりましたが、東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄では、公園ごとの具体的な案内がまだ十分に見つかっていません(中国地方は行事の記録のみ)。わかり次第、この記事に書き足します。
どんぐりとは:まず知っておきたい3つのこと
「どんぐり」という名前の木はありません。東京都公園協会の解説では、どんぐりはかたい皮をもった種子(堅果)で、おわんのような帽子(殻斗)をかぶったブナ科の実の愛称とされています。小山内裏公園の案内でも「クリ以外のブナ科の樹木の実の総称」と説明されています。
1. 種類によって「実るまでの年数」が違う
どんぐりには、花が咲いたその年の秋に実るものと、翌年の秋まで2年かけて実るものがあります。森林総合研究所は「種子の成熟は、アラカシでは開花した年に終わりますが、マテバシイでは翌年に持ち越されます」と説明しています。同じ公園でも、木によって落ちる時期がずれるのはこのためです。
2. 年によって、たくさん実る年と実らない年がある
森林総合研究所によると、ブナ科の木には実りの良い豊作の年と、ほとんど結実しない凶作の年があり、これは「マスティング(種子の豊凶)」と呼ばれます。東北地方の北上山地で40年以上続けられているミズナラの観測では、豊凶の周期が2000年代はじめ頃を境に3〜4年周期から2年周期へと短くなっていることがわかりました。去年たくさん拾えた場所で、今年は少ないということは普通に起こります。
3. どんぐりの木が病気で減っている場所もある
小山内裏公園(東京都)の案内では、コナラに「ナラ枯れ」の被害が多発しており、パークセンターでどんぐりから次の世代の苗を育てていると紹介されています。どんぐりは、公園の森を次の世代につなぐ種でもあります。
種類ごとの見分け方と、落ちる時期
種類と落ちる時期を、公式に案内されている内容から一覧にしました。「落ちる時期」は、万博記念公園(大阪府)が公開している園内の時期です。地域や年によって前後します。
| 種類 | 形と大きさ | 実るまで | 葉 | 落ちる時期の目安(万博記念公園) |
|---|---|---|---|---|
| クヌギ | 直径3cmほどで丸い。帽子はもじゃもじゃ | 2年 | 落葉 | 9月下旬〜10月中旬 |
| アベマキ | クヌギによく似る。葉の裏に毛がある | — | 落葉 | 9月下旬〜10月中旬 |
| コナラ | 直径2cmほどで細長い。帽子はうろこ状 | 1年 | 落葉 | 9月下旬〜10月中旬 |
| カシワ | 帽子のうろこが上を向き、柔らかい | — | 落葉 | 9月下旬〜10月中旬 |
| スダジイ | 細長い。帽子が実全体を包み、熟すと裂ける | — | 常緑 | 9月下旬〜10月 |
| マテバシイ | 大きく細長い「鉄砲の弾」のような形 | 2年 | 常緑 | 10月 |
| ウバメガシ | 直径1.5cmほど。帽子はうろこ状 | 2年 | 常緑 | 10月〜11月 |
| シラカシ | 直径1.5cmほど。先端の盛り上がりが目立つ。帽子は横じま | 1年 | 常緑 | — |
| アラカシ | 直径1.5cmほど。表面に縦じまが目立つ。帽子は横じま | 1年 | 常緑 | 11月〜12月 |
| ウラジロガシ | 直径2cmほどで細長い。葉の裏が白い | 2年 | 常緑 | — |
表の「実るまで」は東京都公園協会の解説(クヌギ・コナラ・シラカシ・ウラジロガシ・アラカシ・ウバメガシ)と、こどもの国の解説(マテバシイ)によります。記載のない種類は「—」としました。
見分けのヒント(公式案内より)
- クヌギとアベマキ:どんぐりだけでは区別が難しいため、落ちていた場所の木の葉や幹で見分けます。葉の裏に毛があるのがアベマキ、ないのがクヌギ。幹を押してコルクのような弾力があるのがアベマキです(万博記念公園)。
- アラカシとシラカシ:どんぐりの先端がふくらんでいるのがシラカシ。葉の裏に毛があるのがアラカシ、ないのがシラカシです(万博記念公園)。寝屋川公園では「先の同心円の模様にくぼんだ段差があるのがシラカシ」と紹介されています。
- カシの仲間は遅い:アラカシは11月から12月頃に落ちるため、クヌギやコナラと一緒には拾えないとされています(万博記念公園)。東京の小山内裏公園でも、アラカシの実が熟すのは11月中旬以降と案内されています。10月に行ってクヌギ・コナラ、11月にもう一度行ってカシの仲間、という楽しみ方ができます。
公式に案内がある公園
公園の公式サイト・公式資料で、どんぐりの種類や場所が案内されている公園です。地域ごとに、北から並べています。
北海道
- 帯広の森(北海道帯広市)※デコパークのページは未作成
十勝のどんぐりの木はカシワとミズナラの2種類と紹介されています。地面に落ちたミズナラやカシワのどんぐりは、数日のうちに殻に割れ目が入り、根を出して冬を越すそうです。本州の公園とは顔ぶれがまったく違います。
関東
- 小山内裏公園(東京都八王子市)
公園のサイトで「どんぐりいろいろ」が毎秋のように更新されています(2024年10月25日版、2025年11月17日版など)。クヌギ、コナラ、シラカシ、アラカシ、スダジイが見られ、11月中旬の時点で「クヌギはもう大半が下に落ちてしまいました」、アラカシは「実が熟すのは11月中旬以降」とあります。時期の目安として参考になります。
- 祖師谷公園(東京都世田谷区)
園内にはどんぐりのなる木が13種類あり、「どんぐりの木」の樹木マップ(2024年9月・10月版)が公開されています。
- 篠崎公園(東京都江戸川区)
サービスセンターが「どんぐりマップ」を公開しています。クヌギ、シラカシ、スダジイ、マテバシイの場所がA地区・B地区ごとに示され、やじろべえなどの作り方も載っています。
- 木場公園(東京都江東区)
東京都公園協会の広報誌(2010年秋号)で、南の冒険広場が「クヌギの木に被われた緑のドーム」と紹介されています。種類ごとの最新の案内は見つかりませんでした。
- 川越公園(埼玉県川越市)
埼玉県公園緑地協会の案内で、園内にクヌギ、コナラ、シラカシ、スダジイ、マテバシイなどのどんぐりが落ちていると紹介されています。
- 市川市内の公園(千葉県市川市)※デコパークのページは未作成
市の公園緑地課が、市内でどんぐりが拾える公園をまとめた「どんぐりマップ」を公開しています(2025年10月27日更新)。一つの公園ではなく、市内の複数の公園の案内です。
- こどもの国(神奈川県横浜市)※デコパークのページは未作成
園の基本の4種としてマテバシイ、コナラ、クヌギ、シラカシが紹介されています。コナラとクヌギは木肌で見分けられるようになると便利、という実践的な解説もあります。
東海
- 木曽川祖父江緑地(愛知県稲沢市)
管理事務所が、どんぐりのなる木を示した「どんぐりマップ」を公開しています。「園内のいたる所にあります」とされています。
近畿
- 寝屋川公園(大阪府寝屋川市)
大阪府公園協会の「どんぐりウォッチング」で、10種類のどんぐりを観察できると案内されています。コナラ、クヌギ、アベマキ、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシ、ウバメガシ、スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ。10月中旬から11月下旬にかけて、クヌギやマテバシイから実り始めるとされ、どんぐりマップ(PDF)もあります。
- 浜寺公園(大阪府堺市西区)
公園の資料「実りの秋!ピカピカのドングリ・木の実を探そう!」で、園内で一番たくさん実るのはウバメガシと紹介されています。クヌギは高石児童遊技場で、アラカシは泉北臨海緑地側で多く見られ、マテバシイもあります。海に近い公園らしい顔ぶれです。
- 万博記念公園(大阪府吹田市)※デコパークのページは未作成
「どんぐりさがしに出かけよう!」で、園内のどんぐりが種類ごとの落ちる時期つきで案内されています。クヌギ、アベマキ、カシワ、コナラ、ナラガシワ、ミズナラ、スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ、シリブカガシ、ウバメガシ、アラカシ、シラカシ、ウラジロガシなど。ナラガシワはどんぐり池周辺に1、2本、ミズナラは紅葉渓周辺に1、2本だけ、というところまで書かれた、全国でも特に詳しい公式案内です。どんぐりマップ(PDF)もあります。
- けいはんな記念公園(京都府)※デコパークのページは未作成
スタッフブログで、コナラが実を落とし始める季節の様子や、ドングリの楽しみ方が紹介されています。種類ごとの一覧は見つかりませんでした。
どんぐりの行事がある公園
公式サイトで、どんぐりを使った行事の案内・記録が見つかった公園です。日程や内容は年によって変わるので、行く前に各公園のお知らせを確かめてください。
- 赤塚公園(東京都板橋区):2024年10月12日に「どんぐりまつり」を開催。園内のどんぐりやトチの実、落ち葉を使った工作体験が行われました。
- 小幡緑地(愛知県名古屋市守山区):愛知県都市整備協会の記事で、2017年の自然観察会でどんぐり工作を行ったことが紹介されています。
- 枚岡公園(大阪府東大阪市):10月の行事として「ドングリ遊び」を行った記録があります。園内でどんぐりを集めて観察し、工作とゲームをする内容です。
- 広島市森林公園(広島県広島市)※デコパークのページは未作成:「どんぐり遊び&ネイチャーゲーム」の行事の記録があります。
拾って持ち帰ってよいか
これは公園を管理する者によって答えが違います。確かめられた例を挙げます。
落ちているものは持ち帰ってよい、としている例
横浜市・小金井市・函館市は、公園のよくある質問で、どんぐりなどの木の実は落ちているものであれば拾って持ち帰っても構わないとしています。そのうえで、共通して次のような配慮を求めています。
- 他の人が拾っている場合には譲り合う
- 業務・商売用などで大量に持ち帰らない
- 木になっている実を、枝のままとらない
函館市は「その他の植物を無許可で採取した場合は、都市公園条例に違反し、罰せられます」とも書いています。
植物の採取を禁止している例
国営昭和記念公園(東京都) ※デコパークのページは未作成 のよくある質問では、「植物・動物(昆虫)の採取」は禁止と案内されています。どんぐりについての個別の記載は見つかりませんでしたが、拾って持ち帰る前に公園に確かめるのが確実です。
ここに挙げた答えは、それぞれの自治体や公園のものです。この記事で紹介した公園を含め、迷ったら、その公園の管理事務所やサービスセンターに確かめてください。
持ち帰ったどんぐりの扱い方
拾ったどんぐりをそのまま引き出しにしまっておくと、中から虫が出てくることがあります。びわこ文化公園(滋賀県)は、クラフト体験で使うどんぐりに必ず行っている虫の処理の手順を公開しています。
- 割れているもの、穴が開いているものを避けて選ぶ
- 水に入れ、浮いてきたもの(中が空洞で、虫が入っている可能性が高い)を除き、泥や砂を洗い落とす
- 水気をふいて密封袋に入れ、日付を書いておく
- 冷凍庫で1週間以上凍らせる
- 解凍し、新聞紙の上などに並べて、日陰の風通しの良い場所で数日間乾かす(カビを防ぐため)
作業時間は約2週間とされています。
食べることについて:シイの仲間やマテバシイはあくが少なく食べられる、と紹介している公園もあります(万博記念公園、寝屋川公園など)。ただし、どんぐりは種類の見分けが難しく、この記事では食べることはおすすめしません。拾ったどんぐりは、観察や工作で楽しんでください。
デコパークで、見つけたどんぐりを残す
デコパークでは、公園の地図に「しるし」として、その日に見つけたものを残せます。どんぐりのしるしを置いておくと、来年の同じ時期に「あの公園のあの辺りで拾えた」と振り返れます。ほかの人にとっては、今年の実りの様子を知る手がかりになります。
上で紹介した公園のうち、デコパークにページがある公園は、地図がまだ描かれていないものもあります。行ったことのある公園があれば、覚えている範囲で最初の地図を描いてみてください。
この記事について
- 調べた時期:2026年9月
- 調べ方:公園の公式サイト、自治体・公園協会・指定管理者の公式資料、国の研究機関の公開情報を読み、書かれている内容だけを載せました。書かれていないこと(どんぐりの量、ねらい目の場所など)は推測で補っていません。
- 情報の追加・訂正:ここに載っていない公園の公式情報をご存じの方、内容の誤りに気づいた方は、お問い合わせからお知らせください。確かめたうえで書き足します。
出典
どんぐりの基礎
- 森林総合研究所「自然探訪2026年2月 変わりつつあるドングリの豊作周期」
- 森林総合研究所「ドングリの実りに多様な資源利用戦略、豊凶の予測に期待」(2023年)
- 東京都公園協会「どんぐりのいろいろ ~雑木林からの贈りもの~」
- こどもの国「ドングリの種類と一年」
公園の案内
- 帯広の森・はぐくーむ「根を出し冬をこす「ドングリ」」
- 小山内裏公園「どんぐりいろいろ ~10月25日版~」「どんぐりいろいろ ~11月17日版~」
- 祖師谷公園「祖師谷公園の樹木マップ「どんぐりの木」」
- 篠崎公園「どんぐりマップ(PDF)」
- 東京都公園協会「広報誌 No.61(2010年秋)(PDF)」(木場公園)
- 川越公園「樹木の情報:ドングリのなる樹木」
- 市川市「どんぐりマップ」
- 木曽川祖父江緑地「どんぐりマップ」
- 寝屋川公園「どんぐりウォッチング」
- 浜寺公園「実りの秋!ピカピカのドングリ・木の実を探そう!(PDF)」
- 万博記念公園「どんぐりさがしに出かけよう!」
- けいはんな記念公園「ドングリの楽しみ方」
行事
- 赤塚公園「赤塚公園 どんぐりまつり 開催のお知らせ」(2024年)
- 愛知県都市整備協会「公園でどんぐりひろい」(小幡緑地、2017年)
- 枚岡公園「10月のイベント」
- 広島市森林公園「イベント・公園活動」
拾うこと・扱い方
- 横浜市「公園の木の実や果実・竹の子はとっていいですか。」
- 小金井市「公園の木の実や果実・竹の子はとっていいですか。」
- 函館市「公園の木の実や果実その他植物はとっていいですか」
- 国営昭和記念公園「よくある質問」
- びわこ文化公園「どんぐりの処理方法」